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M&A動向とレポート

中国の新たな資本規制案が東南アジアのインバウンド M&A に与える影響は限定的:分析レポート

・東南アジアの小規模案件のみが先送りの見込み

・マレーシアとフィリピンではインバウンド案件増の可能性も

・ベトナムでは不動産にマイナス影響

 

人民元と外貨準備高に対する圧力の緩和を目的とした中国の資本流出規制案が東南アジアのインバウンド M&A に与える影響は、地域案件の規模が比較的小さいことから限定的となる見込みだという。複数の業界関係者が語った。

2016年11月に複数のメディアが報じたところによると、100億 US ドルを超える中国のアウトバウンド M&A は、同規制が正式に導入されると規制当局の審査に通らない可能性がある。買い手が主力以外の事業を買収する場合は10億 US ドル以上の案件がこれに当てはまる。

不動産、ホテル運営、映画・エンターテインメント、スポーツクラブ運営の分野で3億 US ドルを超える案件も同様に規制当局の審査に通るのが難しい、と本報道は先月に伝えている。

この資本逃避取り締まりを受けて1月に流出は減速したが、中国政府は今月に入り、外貨準備高が3兆 US ドルを割り込みほぼ6年ぶりの低水準に減少したと発表した。

案件見送り

東南アジアの複数のセクター・アドバイザーによると、中国政府は資本流出規制のさらなる具体的なルールをまだ発表していないが、500万 US ドル以上の中小規模の案件でも規制当局から承認を取得しなければならないとなった場合、より詳細な規制を受けて即座に影響が出るものとして、中国による東南アジアへのアウトバウンド取引の手続きに遅れが生じることが考えられる。

中国政府は100億 US ドルを超える投資案件を精査しているにすぎず、中国企業の東南アジアでの買収でその規模にある案件は一つもないが、新ルールのもとで対外投資を近々管理するという知らせを受けて、中国企業は東南アジア案件にますます慎重になっている、と1人目のバンカーは語った。

マージャーマーケットのデータによると、アリババの Lazada 買収や深圳控股(ShenzhenInvestment)-深圳前海金融(Shenzhen Quianhai)-ACR 資本控股(Asia Capital ReinsuranceGroup)案件を含め、昨年最大級の中国から東南アジアへのアウトバウンド案件は10億 US ドル程度に過ぎず、それ以外は6億 US ドル未満。2011~2016年における中国の東南アジアに対する案件は、年平均で件数が14.8件、金額は35億6000万 US ドルとなっている。

中国政府は対外投資に適用する方針 ― 外国直接投資(FDI)、M&A、保険への規制が含まれる可能性も ― を全面的に見直す必要はなく、東南アジアでの案件の大半について微調整が行われるように、関連する一部の中規模取引に対してそれを行うだけで済むかもしれない、と2人目のバンカーは語った。東南アジアへのアウトバウンド案件はその結果短期的にはペースが落ちることも考えられるが、中国が国内経済成長を必要としているなら海外市場進出は避けられないため、中長期的な案件は影響を受けないとみられる。

3人目のバンカーによると、中国の海航集団(HNA Group)が昨年5月から独占協議をしている物流サービス運営会社 CWT に買収案提示を延期するなど、一部のシンガポール案件はさらに先延ばしされる可能性があるという。シンガポールに拠点を置く不動産開発・サービスグループの United Engineers の売却も、いくつかの中国の買い手を引き付けており、同じような状況に陥るだろうと予想されている。

CWT はコメントを控えた。海航集団にコメントを求めたが返答はなかった。UnitedEngineers はコメントを控えた。

United Engineers がシンガポール証券所(SGX)に開示した資料によると、主要株主のオーバーシー・チャイニーズ銀行(OCBC)及び Great Eastern Holdings は保有株について拘束力のない関心表明を受けたが、これらの取引が実現する、あるいは契約を締結するかは定かでない。

マレーシア

資本流出規制をよそに、中国からのインバウンド投資はマレーシアでは今年も引き続きM&A の原動力と見なされている。Frost & Sullivan GIC Malaysia でマネージング・パートナーをつとめる Aroop Zutshi 氏はそう語った。

マレーシアに対する中国のアウトバウンド M&A は増加する見込み。その理由は、国内の自動車やコンソーシアムのパートナーが重大プロジェクトに着手するからだ。中国企業は、主に建設、物流、不動産の分野をターゲットに、企業や重要なインフラ関連資産に焦点を当てるだろう。多くの中国企業が、特にインフラと公益の分野で、現地プロジェクトを請け負う事業体として機能するような現地パートナーを探していたりマレーシアに拠点を置く企業の株式の取得を目指したりしているとされている。

2016年3月、中国中鉄(China Railway Group)が、国家ファンド1MDB の子会社Bandar Malaysia の株式60%を72億マレーシアリンギ(17億 US ドル)で取得するためにIskandar Waterfront Holdings と手を組んだ。2015年11月、クリーンエネルギー中国大手の一角を占める中国広核集団(China General Nuclear Power)が、マレーシア、エジプト、パキスタン、アラブ首長国連邦(UAE)にある計13件のクリーンエネルギープロジェクトを取得するため、マレーシアのエネルギー会社 Edra Global Energy と株式購入契約を交わした。この取引額は98億マレーシアリンギ(23億 US ドル)。

マレーシアのあるバンカーによると、リンギ安がマレーシアではインバウンド M&A のきっかけになり続けるが、必ずしも中国に端を発するというわけではないという。中国がマレーシアを対象とした案件の規模は以前から比較的小さいため、中国の資本逃避規制がマレーシアに重大な影響を与える可能性は低い。主にその影響を受けるのは、米国や欧州などもっと進んだ市場に対する中国の投資だろう、とこのバンカーは付け加えた。

不動産投資ファンド IQI Group の主席エコノミストであるシャン・サイード(Shan Saeed)氏は、リンギ安で石油・ガス、物流、製造の分野のディストレスト資産は海外の買い手にとって魅力が高まるとの見方を示している。主に政府間レベルで調印された取り決めにより、中国の資本規制を受けても、こうしたプロジェクトの大半は減速しないと予想されているという。

マレーシアリンギは2016年に6%超下落しており、2017年までに対ドルで4.20~4.50マレーシアリンギの水準に収まると予想されている、と同氏は付け加えた。

フィリピン

First Metro Investment Corp のフランシスコ・セバスチャン(Francisco Sebastian)会長は、特にドゥテルテ政権が中国とロシアに軸足を置くとして、中国企業のフィリピン投資計画が資本規制で遅れることはないとの見解に同調した。さらに、中国のフィリピンに対する投資は対米・対欧に比べ規模が小さい。

また中国は、鉄道や有料道路の建設・運営に余剰能力があり、フィリピンなどの新市場を探す必要があるという。その代わりに、こうした市場ではインフラ建設が必要になるため、中国政府がこのような投資を抑制する理由はあまりない、と同氏は付け加えた。

現地メディアが伝えたとおり、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領は昨年中国を公式訪問し、中国からインフラ、エネルギー、金属、製造への240億 US ドル近い投資の確約のほか、融資契約を取り付けている。

中国は、2国間の関係が改善したことに加え、米国が環太平洋連携協定(TPP)から脱退した後の東南アジアでの存在感強化を模索するなか、ドゥテルテ政権の下でフィリピンへの投資を増やすよう奨励もするだろう、と香港上海銀行(HSBC)アジア投資戦略担当ヘッドのチェク・ワン・ファン(Cheuk Wan Fan)氏は述べた。加えて、中国は「一帯一路」構想を推進しており、これが東南アジア投資の増加を促すとみられる。

ベトナム

一方、中国の新しい資本規制は、ベトナム、とりわけ不動産業界に悪影響をもたらすだろう、とベトナムのある弁護士が語る。一部のベトナムの不動産開発会社は中国資本を生かして開発プロジェクトを賄ってきたという。

現行の規定ではベトナム企業が外国の銀行から借り入れを行い、ホテル、リゾート、オフィスビル、その他のプロジェクトを開発する特別目的事業体を設立することは可能だが、中国からの資金流入のほうが資金は獲得しやすいと考えられることが多い。地場企業は単に住宅プロジェクトで海外で借り入れることはできず、国内の銀行から十分な融資を受けることができない場合も多いことから、資金不足や外国投資家からの資金のニーズが生じた、とこの弁護士は話す。中国の資本規制が ― 不動産、ホテル、その他類似の分野を対象に ― 打撃を与えたとしても、この資金源が簡単に代わることはないだろう、と同弁護士は付け加えた。

想定される中国資本流入の減速の強まりは、この国では他の外国の投資家にチャンスを生み出す可能性がある、と同弁護士は説明。Keppel Land、CapitaLand、Mapletree などシンガポールの不動産開発会社はベトナムの不動産市場で活発な動きを見せており、台湾や韓国の投資家とともに、良質プロジェクトの競争性の創造に貢献してきた、と同弁護士は付け加えた。

その他の業界では、その一方、中国企業による高額な買収はまだ見られない、と2人目のベトナムのバンカーは語った。ベトナムでは中国からの様々な産業への金融投資が増えると予想されていることは確かだが、案件規模が比較的小さいことから、その影響は軽微とみられる。

上記以外の東南アジア

上述以外の東南アジア市場では、案件規模が小さいことと、中国企業の投資先の大半がインドネシアやタイといった市場の不動産であることから、資本流出引き締めの影響は大きくないだろう、と2人のバンカーは語った。

その上、中国はインドネシアにとってシンガポールと日本に次ぐ第3位の出資国であり、海外トップの出資国になったことがない、とそのうちの1人が語った。タイのトップ出資国は日本と欧州の企業だ。

中国企業は伝統的にミャンマーの石油・ガス分野に投資してきたが、最近は産業プロジェクトに関心がシフトしており、民間セクターの取引を好んでいる、とミャンマーに注力するあるバンカーが語った。ただし、ミャンマーの新政権発足を受けて中国からだけでなく FDI 全体が縮小しており、投資家は静観の構えを見せている。

シンガポール企業がミャンマーでは1番目の海外投資家だが、その多くが中国企業から支援を受けている、とこのバンカーは語った。

出典:China’s planned new capital controls to have limited effect on inbound Southeast Asia M&A

Mergermarket Analysis (http://www.mergermarket.com)

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